頭痛の中にも『危険な頭痛』となりえる症状があります。頭痛は日本で約3000万人いると言われていますが、その中で重篤となるのは1%未満と言われています。この1%未満は直接命に関わることもあると言われ、早急な処置を必要とします。重篤な頭痛にはどんなことが起こるかお伝えしていきます。
Contents
重篤な頭痛とは
A脳から由来するもの
頭痛の種類は大きく分けて2種類に分かれます。一つは以前にお話しした一次性頭痛【片頭痛】【緊張型頭痛】【群発性頭痛】、もう一つは今回のテーマとなる二次性頭痛です。
二次性頭痛は原因となる病気があり、それにより引き起こされる頭痛です。主には、くも膜下出血、脳出血、髄膜炎、脳腫瘍が挙げられます。どれも一度は耳にしたことある病気で怖いですね。これらの脳のトラブルには突発的に起こることが多く予測は難しいですが、必ずいくつかのサインがあります。以下のサインが出た場合はすぐに医療機関での受診をお勧めします。
- 今まで経験したことのないような金槌で殴られたような頭部への痛み
- 手足のしびれや感覚の麻痺(手や足が触られている感じがない)
- 手足が自分の意思とは反して思うように動かすことが出来ない、呂律が回らない
- 目を開くことができないくらいの頭痛
上記のように普段とは全く違う頭痛に遭遇した場合は、セラピスト適応外となります。
B耳から由来するもの~頭痛とめまいの関係は?~
めまいで怖いのはメニエール病という耳の病気があります。この特徴は『長時間のふらつき』『長時間のめまい』が繰り返されることで、他には『吐き気』『頭痛』『耳鳴り』を伴います。
一過性の症状や、運動・感覚の麻痺は現れないはずですが、長時間同じ症状が続く場合は、耳鼻科が良いと思います。この症状も、重症の場合リハビリ適応外になることもあります。
レッドフラッグって何?
日本ではあまり聞きなれない言葉だと思いますので、ご紹介します。この言葉は簡単に言うと、リハビリ適応外を意味します。アメリカでは理学療法士に開業権が与えられ、患者が直接医師の診察を通さずに、理学療法士のもとに訪れることがあります。その時に使用するのがレッドフラッグです。判断材料としてある検査や問診をして、特定の症状が現れたら【危険】と判断して治療は行わず、医療機関の受診を進める仕組みとなっています。
例を挙げるとすると、交通事故後の頸椎や腰椎損傷、頭部損傷の場合、骨折しているのか?脳の障害が疑われるのか?神経損傷のダメージの可能性はあるのか?ガンの可能性があるのか?脳への動脈の血流の不足は大丈夫か?など治療以前に診断の精査を必要とする場合に簡易検査にて判断し、適切な処置を医療機関に委ねます。何故医者でもないのに必要かというと、リハビリ適応外で治療をしてしまった場合、訴えられることが予測されるからです。アメリカならではの考えですね。日本では基本的に医師の診断のもとリハビリが行われるので、あまり重要視されていませんが、スポーツの現場(特にコンタクトスポーツ)では、必要な知識です。また自由診療している店舗もたくさんあるので、自分の身を守るにも知っておくべき知識かと思います。
上を向いてめまいの症状は気をつけるべし
レッドフラッグの中に気を付けておきたい動作の一つに上を向いた際の【めまい症状】です。これは椎骨動脈と呼ばれる脳に栄養を送る血管が虚血(十分に血液が流れていない状態)している可能性があります。
- 眼振
- 手足のしびれ
- 口の周りのしびれ
- 気絶
上を向いた際、この症状が出ると危険ですので、かなりの注意が必要です。これが起こりえる要因としては、アテローム性硬化症・塞栓症、血栓症・骨粗鬆症・インスタビリティ(不安定性)・亜脱臼・頸椎椎間板の脱出( とびだし)・首の運動の組み合わせなどが考えられます。
頸椎の充分な可動性があったとしても、交通事故などで頸椎捻挫をした場合は、インスタビリティにより、脳への虚血を起こすことも考えられるので、症状が出たら医師と相談するのが賢明です。
簡単にわかる検査の紹介
ここから先は専門的な話となります。レッドフラッグの重篤な頭痛とつながる可能性のある検査を紹介します。
- シャープパーサーテスト
- クリニアル アトラス リフト
- アトラス アキシス シェアー
- クリニアル サイド ティルト
- テクトーリアル 3 ステージ
- VBIテスト
このようなテストで陽性の場合は、治療適応外となるので自己判断せず病院受診が最善です。靭帯のストレステストや動脈のテストとなりますので興味のある方は調べてみて下さい。