頭痛と痛みのメカニズム~脳の働き
人間の神経細胞は1000億個超あると言われていますが、痛みを感じたらどのうように脳まで伝わり、頭痛へと発展していくのか詳しく説明していきます。
痛みを感じる経路とは
人間は温覚・痛覚・触覚といったように何かに触れて、それが熱いのか柔らかいのか、堅いのか痛いのかという感覚をすぐに脳へ伝えています。これは大きく分けて三つの神経回路を介して脳まで伝えています。
まずは痛みの受容器を皮膚で感じ、その情報を脊髄へと伝えます。脊髄に伝わった情報は、次の神経細胞へ伝えられ脳にある視床というところまで伝達されます。痛みの情報を受け取った視床はさらに次の神経細胞へと変化して、大脳皮質にある感覚野と呼ばれるところまで痛みの情報を送ります。人間は情報を受け取ったら瞬時にこのような操作が行われます。
痛みの経路
①皮膚から脊髄→→ ②脊髄から視床→→ ③視床から感覚野
頭痛と脳の働き
頭痛を引き起こす要因には脳の働きが深く関与しています。特に大脳辺縁系という部分は情動の表出、食欲、睡眠欲、記憶や自律神経の活動に関与していて、頭痛の関係が深いと考えられます。詳しく見ていきます。
①大脳辺縁系の役割扁桃体
上図の青で囲まれた部分を大脳辺縁系と言います。大脳辺縁系は主に呼吸器の調節、意思決定、共感、感情による記憶の関与、喜怒哀楽や痛み、自律神経に関与しています。
特に扁桃体と呼ばれる部分は痛みや自立神経に深く関与していて、頭痛を引き起こす可能性があります。うつ病発症にも関与していると言われ、強い不安や恐怖が続くことでストレスを感じ『うつ病』 症状が発現すると考えられます。
②視床の働き
視床は先ほども記したように痛みの皮膚から入ってきた情報を脳へ伝える経路の中継地点とも言える場所です。細かく分類すると背側、腹側、上部、下部と四つに分類することができそれぞれの役割を持っています。その中でも視床下部と呼ばれる部分は、成長ホルモンの分泌に関与したり、自律神経の中枢とも呼ばれ重要な働きを担っています。
視床下部ではストレスを感じると大脳辺縁系から不安や恐怖の情動の情報を受け取り、それを自律神経に伝えて興奮状態となります。これが継続して起こることで、『幸せホルモン』と呼ばれるセロトニン分泌の抑制に繋がり、精神的に不安な状態となったり頭痛を引き起こします。
ストレスが継続すると・・・
大脳辺縁系で不安や悲しみ痛みを感知→→視床下部→→自律神経興奮→→セロトニン分泌抑制→→頭痛やうつ病
③松果体
松果体は視床下部、下垂体を介してメラトニンの分泌がされていて、日内リズムに関与して睡眠に深く関与します。
④大脳の感覚野
脳の働きには運動野・感覚野と呼ばれる領域が存在します。皮膚から伝わった情報は最終的に感覚野まで届き、どの部位がどのうような状態かを脳に伝えています。この図はブロードマンの感覚野と言います。ここで注目なのは頭や顎、唇といった領域が1/3を占めている点です。他の部位に比べると、占めている割合が大きいのが分かります。後述しますが、頭痛を改善するための一つの改善策としてセロトニンを増やす方法があります。その一つに笑顔を作ることが挙げられますが、これは笑顔を作ることで、感覚野の1/3が刺激されストレスを減らしていくことにも繋がるからです。
幸せホルモンセロトニンを増やす方法
頭痛軽減するための方法として幸せホルモンセロトニンを増やす事が挙げられます。自律神経と頭痛のところでも触れていますが、自律神経を整えるのに最適とされる成分としてトリプトファンというのがあります。これは脳内物質のセロトニンの材料となるものです。セロトニンが別名幸せホルモンとも言います。脳内物質のセロトニンは気持ちをリラックスさせ、ストレスを抑制する効果があります。
具体的には適度な運動(一日30分程度)を行う・バランスの良い食事(トリプトファンを含んだ食事)を摂る・適切な睡眠時間(7~8時間)を確保する・笑顔を作る(感覚野の刺激)事があります。
頭痛と脳の働きまとめ
今回のテーマは痛みに関して頭痛に発展しやすい脳の関係について紹介しました。頭痛の要因はひとそれぞれなので複雑に絡みあっていると思います。なるべくストレスを溜めないように、運動や食事、睡眠時間や顔の筋肉体操などを組み合わせて、幸せホルモンを作れる体を目指しましょう。