顎関節症は、症状があっても自然経過を辿ることが多く治療に至るまでのケースが少ないと言われています。どの疾患も早期発見、早期治療が予防をしていく上で大切だと思います。診断は医師によるものですが、まず自身でも日頃の変化に気づくことがとても大切です。そこでセルフでできる簡単セルフチェックポイントについてまとめてみました。
Contents
理学所見~自宅でできる簡単確認方法とは?~
ポイントは二つ
【口が三横指開くかどうか】
【開いた時の顎に左右差があるか】
この二つはすぐに確認できる項目です。口の前に指を当てて確認し、鏡を見ながら顎の動きを見ると分かります。写真では右に顎がずれているのが分かると思います。この場合、右の顎の関節に問題があるのか、もしくは筋に問題があるのか、または、第一頸椎や頭位の位置が動きを制限しているのかなど問題は人それぞれなので、セラピストによる確認が必要です。注意したいのは開かなすぎるのも、顎関節症ではない可能性もあります。
以下は顎関節障害分類で書いた記事内容です。
※区別を必要とする疾患
あくまでこれはセルフチェックポイントなので診断しているわけではありません。注意しなければいけないのは、顎関節に似たような症状があるので注意が必要です。
- 開口障害が2横指未満
- 顎関節部や咀嚼部の腫脹を認める
- 発熱を伴う
- 安静時痛を伴う
顎に関する問診~顎に問題あるの?ないの?~
- 開口時に顎に痛みを感じるか
- 開口時にクリック音があるか
- 良く歯を食いしばる癖があるかどうか
- 偏った方向で食べ物を食べるかどうか
- 頭痛がなかなか改善しない
- 【歯ぎしり】をしていると言われたことがある
歯の専門医ではありませんが、身体の専門家として、頭痛のある方、頸椎の悪い方、肩こり症状のある方に質問している内容です。『個を見て全体を観察する』重要な問診となります。
いくつか当てはまる方は、顎関節症の疑いがあるかもしれません。
顎にストレスを与える可能性のある因子~知らないうちに顎へ負担をかけている要因とは?~
- 日常良くガムを食べる
- 長い期間牽引をしている。
結構驚かれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。上記の二つはよくある光景だと思います。それでは理由について説明していきます。
ガムを食べる方と、牽引をする方での共通している点は、両方下方から上方への圧を顎に加えている点です。良く噛むことは大切だと思いますが、問題は噛んでいる時間です。通常平均して上下の歯が接している時間は約20分だそうです。私も初めて聞いた時は驚きましたが、上下の歯は通常ほとんど接している時間が少ないです。これを専門用語で『下顎安静位』と言います。この条件には『舌の正しい位置』と『鼻呼吸』ができることも含まれます。口呼吸をする方は、これができていない可能性があり、口から入る細菌を抑えられず、風邪をひくケースもあります。顎関節は、構造上ぶら下がっている関節なので、リラックスすることが必要となるのです。筋肉を使うことはもちろん大切ですが、常に緊張していると誰でも疲れてしまいますよね。リラックスする時間も同じように大切なことです。このことを考えるとあまり長い時間ガムを噛むこと、牽引をすることは、過度に顎にストレスを与える要因となり、口が開きづらい症状へとつながります。
※ダメと言っているわけではなく、あくまでストレスを与える可能性ですので、当てはまらない方もいらっしゃることはご容赦下さい。
いかがだったでしょうか。今回のテーマは顎関節症におけるセルフチェックポイントでした。自宅でできる理学所見は『口が三横指開くかどうか』『開いた時に顎が左右差あるかどうか』この二つです。簡単にできますので皆さんも自宅で行ってみて下さい。顎がリラックスしなければいけない理由もお分かりいただけたと思います。顎の運動に関わる側頭筋や咬筋と呼ばれる筋が緊張していないかも併せて確認しておくと良いかもしれないですね。